2026.9.16(水)
皆さんこんにちは。 今日は快晴で気持ちのいい一日ですね。夕方になり、クーラーを止めて窓を開けているのですが、空気の流れが心地よくて作業も進みます。
さて本日は、商品の紹介ではなく、先日導入した彫金道具のひとつ「スチームクリーナー」についてお話ししたいと思います。
自分の周りではスチームクリーナーを使っている職人がまったくおらず、実際の使用感や必要な情報がほとんど出ていません。ネットや動画でも細かい説明が見つからず、導入を検討している方が判断しづらい状況だと感じました。
そこで、今回実際に使ってみた内容をまとめて紹介することにしました。
そもそも「スチームクリーナーって何?」という方もいらっしゃると思いますので、まずは簡単にその役割について触れていきます。
今回購入したメーカーはアルファーミラージュです。
MRS-1になります。
スチームクリーナーとは、「高温蒸気(高圧の水蒸気)」の力を使って、洗剤を使わずに汚れや油分を浮かせて落とす洗浄機械のことです。
宝飾品(ジュエリー)や時計のバンド、メガネのフレーム、さらには歯科技工の分野などで広く使われており、その役割と特徴は主に以下の通りです。
スチームクリーナーの主な役割と特徴強力な油分・手垢の除去ジュエリーに付着した皮脂、化粧品、手の油汚れや、研磨剤の残りなどは、水洗いだけではなかなか落ちません。
高温の高圧スチームを吹きかけることで、頑固な油分を瞬時にとかして吹き飛ばします。微細な隙間へのアプローチ超音波洗浄器などでは届きにくい、宝石の裏側の細かい爪の隙間、チェーンの網目、メガネの丁番部分などにピンポイントで高圧蒸気を
当てて綺麗にできます。
洗剤を使わない安全性基本的に「水道水」を加熱して蒸気にするため、強力な化学洗剤を使わずに環境や素材(金属や石など)に優しく洗浄が可能です。
瞬間加熱システムアルファーミラージュの製品(MRS-1やMRS-1PGなど)は、使いたいときに素早く高温・高圧のドライスチームを発生させられるため、作業の効率が非常に高いのが特徴です。
現行品の新しいモデルはMRS-1PGになります。
旧モデルの「MRS-1」から現行の「MRS-1PG」へモデルチェンジした際、正面に配置されている圧力計のデザインが改修され、より視認性が向上した仕様になっています
洗浄に関する性能能力(スペック)自体は変わっていません。
使い方はシンプルではじめに本体のタンクに3リットル近い軟水を入れて準備ができるまで10分程待ちます。
準備ができてから対象物に噴射できる秒数は約30秒程です。
その後ボイラーに溜まった水を水蒸気に転換してまた直ぐに使えます。
音もそこまでうるさくないのでマンションでも使えるレベルです。
噴射の圧力が0.5メガパスカルあるのがこのスチーマーの魅力です。
海外製ではドイツのエルマやイタリア製のReliableと中華製があります。ドイツのエルマは40万円以上するし、イタリア製のReliableは蒸気最高圧力:が0.35 MPaと低い。中華製は220v仕様で日本では使えないのとちょっと
信用性が低いので色々と検討して日本製に至りました。歯科用は私のルートでは入手できなかったため検討はしませんでしたが、松風という彫金メーカーが昔作っていたスチーマーを中古市場で見つけて心が少し動いたのを覚えています。
蒸気最高圧力: 0.5 MPa(共通)
定格電圧 / 消費電力: 単相AC100V / 1.5 kW(共通)
ブレーカー容量: 30A(共通)
本体サイズ: 幅265~270mm × 奥行270mm × 高さ450mm(共通)
本体重量: 11.5 kg(共通)
ここまで書きましたが、私自身が使ってみて「これは違う」と感じた部分があります。
あくまでも 私の作業環境での実体験 に基づく内容ですので、これがすべてではないという前提で読んでいただければと思います。
まず、旧モデルと現行モデルについてですが、性能は何も変わっていません。メーカーに確認済みです。
そのため、安く購入できるのであれば旧モデルで十分だと感じました。
価格についても触れておきます。
メーカーサイトでは32万円と表示されていますが、正直ありえないほど高いです。
コロナ前は20万円以下で購入できたので、ここまで値上がりしている現状は異常だと思います。
また、「洗浄液を使わずに汚れが落ちる」という説明がありますが、これは私の体感では 完全に嘘 です。
そもそも薬剤を使わずに汚れが落ちるはずがありません。
皮脂汚れなども同じで、スチームだけで落ちるというのは現実的ではないと感じています。
彫金では、そもそも皮脂汚れ程度でスチーマーを使うことはありません。
私がスチーマーを導入した理由は、バフがけの後に残る細かいバフ粉を確実に落としたかったからです。
作業の流れとして、まず超音波洗浄機でバフ粉をしっかり落とします。
しかし、リングやバングルに打ち込んだ刻印の中や、細かいパーツの隙間に入り込んだバフ粉は、どうしても超音波だけでは落ちないことが多くあります。
その部分を綺麗にするために毎回工夫をしていましたが、作業のたびに強いストレスを感じていました。
こうした細部の洗浄を確実に行うため、一度はスチーマーを使ってみたいと思い、今回導入に至りました。
それと「水が使用できる」とありますが、これも実際とは異なります。 メーカー側も、スチーマーには イオン交換樹脂を使った軟水を使用するように と明確に案内しています。
そして、この「イオン交換樹脂を使った軟水」という仕組みが、少し複雑だと感じました。
イオン交換樹脂は添付している物が届きます。写真の2005.08は製造年月日ではなくメーカーに確認をしたところ開発日とのことでした。
本体の横には「HYソフナー」と記載されていますが、正面にはシールで「Fソフナー」と貼られています。
HYソフナーは純水用のイオン交換樹脂、
Fソフナーは軟水用のイオン交換樹脂です。本来であればパッケージを分けるべきですが、
同じパッケジを使い、用途に合わせてシールで区別しているようです。
メーカーに確認したところ、アルファミラージュの本体裏には「直本工業」という会社名も記載されています。
直本工業はミシン製造会社で、ミシン関連のスチーマーで培った技術をアルファミラージュ向けのOEM機として製造しているとのことでした。
また、ミシン用の純水仕様のイオン交換樹脂のほうが出荷量が多いため、同じパッケージを流用し、シールで対応しているという説明でした。
軟水用と純水用ではイオン交換樹脂の中身がまったく異なるため、購入時にはしっかり確認する必要があります。 楽天やアマゾンでも同じパッケージの商品が販売されていますが、これらは中身が軟水用ではない場合が多く、誤って購入すると正しい
水が作れないため注意が必要です。
イオン交換樹脂の色も違います。
カラーはアンバー色です。 交換の推奨時期は3ヶ月とのことですが、使い続けるとイオン交換樹脂の色が徐々に薄い黄色へ変化していくそうです。
内容量は350gで、価格は5,500円+送料。
正直、地味に高いと感じます。 このイオン交換樹脂は直本工業が自社で生産しているものではなく、OEMで製造されたものを直本工業が販売しています。
そのため、私たちの現場で受け取るまでに何社も間に入る構造になっており、結果として価格が高くなってしまっているようです。
昔は4,400円で購入できたことを考えると、値上がり幅はかなり大きいと感じます。
ちなみに純水用のHYソフナーの色は黒のような紺色です。
こちらも使っていくと色が変わるそうです。
でもこれも地味に高くて価格は軟水用とほとんど変わりません。
そこで色々と調べてメーカーに確認をした物でお勧めできそうなものをご紹介します。
サンエイ化学株式会社は 純水(精製水)と水処理用品に特化したメーカー です。 水処理装置、イオン交換樹脂、純水器、精製水などを扱い、工業・医療・美容・研究など幅広い業界に供給しています。
自社で純水器や精製水を製造するメーカー であり、 OEMではなく「純水のプロ」としての技術を持つ会社です。
こちらの価格をみてください。
1kgで送料入れて1.300円
こちらは色が変わらないそうです。
ですので、添付している硬度指示薬を使うことで軟水になっているかの判断をしてほしいそうです。
価格もそんなにたかくないので購入してみました。
使う水には少し拘った方がいいと感じています。水や浄水器を通した水はお勧めできないです。
水道水は「カルキ・ミネラル」が多すぎて故障の原因になる
水道水にはカルシウム、マグネシウム、カルキ、微量の金属イオンなどが大量に含まれている。
これらがスチーマー内部で 加熱 → 蒸発 → 付着 → 固着 の流れで 白い結晶(スケール) になり、内部の配管やヒーターにこびりつく。
結果として:蒸気の出が悪くなる、圧力が安定しなくなる、ヒーターが焼ける、最悪、故障して動かなくなる
メーカーが「水を使うな」と言う最大の理由はこれだお思います。
また、精製水やRO水も不向きです
純水は「電気抵抗が高すぎて」機械内部のセンサーが反応しません。
高純度の水は電気を通さないので内部のセンサーが水が入っているのに電気抵抗がないので入っていないと誤認識します。
スチーマーも高額なのでスケールが溜まって噴射力が落ちるのは困ります。
少し高くてもしっかりとした水を使うことが大切だと思います。
そこで、
アルファミラージュ指定のイオン交換樹脂(350g)と、サンエイ化学のイオン交換樹脂(800g)の2種類について、正しくイオン交換が行われるかを同じ条件で実験しました。
硬度の確認には、紹介した硬度指示薬を使用しています。
メーカーの説明では、
「イオン交換樹脂を別容器に沈め、その水をスチーマーに入れる」という方法が推奨されています。
今回の実験手順は以下の通りです。
・イオン交換樹脂は上記で紹介した物を使っています。
・容器に入れる水は2リットル
・不織布にイオン交換樹脂を入れ、容器の水の中に沈める。(検査結果によっては不織布から出して容器に直接いれてみる。)
・樹脂は沈める前に、流水で数回水通ししてから使用する。
・1時間・4時間・1日と時間を変えて放置し、それぞれ硬度指示薬で水の硬度を確認する。
その結果、
容器に沈めただけでは水はイオン化されないことが分かりました。
理由は、樹脂を沈めただけでは水が動かず、対流が起きないためです。
水が流れない状態では、樹脂の周囲に停滞した水の層ができ、イオン交換が進みません。
つまり、メーカー推奨の方法では 完全なイオン交換は起こらないため注意が必要 です。
一応写真を撮ったので添付しておきます。
通常の水道水の水と浄水器の水になります。
どちらも軟水ではないので同然赤色になりました。
軟水になると指示薬は青色に変わります。
給水タンクに沈めて1時間、4時間、1日経った状態でもほとんど漬け込んだ水はイオン化されません。
不織布を絞った水を検査するとイオン化されています。
この結果からイオン交換樹脂としての効果はあるものの、その能力を発揮するには漬け込んでおくだけではだめだということがわかりました。
結論(わかりやすく)
樹脂を沈めただけでは水が入れ替わらないため、イオン交換が起きない。
イオン交換は「水が樹脂の表面を流れる」ことで初めて進む。
メーカー推奨の「別容器に沈める方式」は 対流が起きないため、ほぼイオン化されない。
実験結果は 理論と完全一致しており、むしろ正しい検証ができています。
樹脂の周りに 薄い"停滞した水の膜" ができる
この膜の中ではイオン濃度がすぐ均一になり、交換が止まる
外側の水は動かないので新しいイオンが樹脂に届かない → 交換が進まない(=イオン化しない)
これは水処理の専門文献でも「イオン交換は流れがないと進まない」と明記されています。
サンエイ化学のイオン交換樹脂についても同じ条件で実験を行ったところ、結果はアルファミラージュ指定の樹脂と同じでした。 樹脂量が800gと多くても、水が動かない環境ではイオン交換は進まないことが確認できました。
今回の実験では、不織布を絞った水はイオン化されていたため、コーヒーをドリップする方法と同じように、不織布をドリッパーにセットして上から水を通す方法も試しました。 しかし、この方法では水が通過する速度が速すぎるた
か、硬度指示薬の色は赤色のままで、十分なイオン交換は起きませんでした。
また、筒状のプラスチック容器やスパゲティ保存容器を使い、樹脂を沈めてゆっくり軟水を作る方法も検討しましたが、時間と労力が大きくかかるため今回は実験を行っていません。
そこで次の案として、水槽用のエアレーションを購入し、容器の底から空気を送り込んで水に対流を起こし、その状態でイオン交換が進むかどうかを試す予定です。
結果については、後日あらためて報告します。
イオン交換樹脂の保存方法についてですが、しばらくスチーマーを使わない場合は、まず機械内部のタンクの水を必ず排水します。
そのうえで、軟水は別のタンクで作ってから本体に注水するのですが、
イオン交換樹脂は 乾燥させると内部のイオン構造が壊れてしまい、性能が大きく落ちる ため、保存時には注意が必要です。メーカーからの説明ではなく私の解釈ですが、樹脂を乾燥させず、少し湿らせた状態で空気を抜き、冷蔵庫などで保管するのが良
いと思います。
私は不織布にイオン交換樹脂を入れて軟水を作って
使用しない時は、タンクから不織布ごと取り出し、ジップ付きの袋に入れて冷蔵庫で保管しています。
この方法であれば、樹脂が乾燥せず、品質を保ったまま次回も問題なく使用できます。
では実際に使ってみた動画と写真を添付します。
最後の動画は失敗している使い方になります。
刻印の文字の大きさは1mm以下ぐらいだと思います。
この刻印の間に入ったバフ粉が本当に取れなくてみんな苦しんでいると思います。
スチーマーを使った後は見事にバフ粉が吹き飛んでいました。
メーカーサイトの写真では、対象物から少し離して蒸気を当てているように見えますが、この方法ではバフ粉は落ちませんので注意が必要です。
刻印の中に入り込んだバフ粉を落とすためには、対象物をスチーマーの先端にしっかり密着させ、角度や向きを細かく調整しながら蒸気を当てる必要があります。
私も最初はメーカーサイトの写真のように使っていましたが、まったくバフ粉が落ちず、メーカーに電話して確認したところ、刻印の洗浄には密着させて使うのが正しい方法だと教えてもらいました。
超音波洗浄機で少しバフ粉を柔らかくしてからスチーマーをあてるのが一番だと思いました。
今回記載している内容は、取扱説明書にも書かれていません。
せっかく購入したのに「バフ粉が落ちない」「思ったように使えない」とがっかりしないためにも、実際にメーカーから聞いた正しい使い方として紹介しています。
ただし、私のやり方がすべてではありませんので、あくまで参考程度に取り入れていただければと思います。
何かの参考になれば嬉しいです。
ではでは。
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